CAPA(是正処置・予防処置)とは?
CAPA(キャパ)とは、Corrective Action and Preventive Action の略で、「是正処置(是正措置)」と「予防処置(予防措置)」を意味します。 QMS(品質管理監督システム)における中核プロセスのひとつで、医療機器・医薬品業界では規制要件として求められる重要な仕組みです。
本記事では、CAPAの定義・目的から具体的な実施手順、現場でよくある課題まで、医療機器QMSコンサルタント・居原範道氏の監修のもと、わかりやすく解説します。CAPA対応・CAPA管理を初めて担当する方から、QMS構築・監査対応で具体的な手順を確認したい実務者まで、幅広く活用いただける内容です。
💡 表記について
本記事では JIS Z 8002 / ISO 9000日本語訳に準拠し「是正処置」「予防処置」 と表記しますが、QMS省令や実務文書で用いられる「是正措置」「予防措置」 と同義です。検索やドキュメント作成の際は、いずれの表記でもCAPAの プロセスを指します。
具体的な定義
CAPA(Corrective Action and Preventive Action)は、QMS(品質管理監督システム)における重要なプロセスで、「是正処置」と「予防処置」の2つの要素から構成されています。
- 是正処置(Corrective Action、是正措置とも表記):既に発生した問題や不適合の原因を特定し、再発を防ぐための対策を講じること。
- 予防処置(Preventive Action、予防措置とも表記):潜在的な問題や不適合を事前に特定し、その発生を未然に防ぐための対策を講じること。
目的
CAPAは、問題解決のための体系的なアプローチであり、その主な目的は、製品の品質と安全性を継続的に改善し、顧客満足度を高めるため、単に表面的な問題を解決するだけでなく、根本原因を特定し、本質的な解決策を実施することです。医療機器業界では、患者の安全を確保し、規制要件を満たすことが特に重要です。CAPAは以下を達成するために実施されます:
- 品質問題の根本原因を特定し、再発を防止する
- 製品やプロセスの改善を促進する
- リスクを最小限に抑え、患者の安全を確保する
- 規制要件への適合を維持する
- 組織全体の品質文化を醸成する
是正措置とは
是正措置とは、発見された不適合の原因を除去し、再発を防止するための措置です。QMS省令第19条第1項第7号は是正措置を「不適合の再発を防止するために不適合の原因を除去する措置」と定義しており、CAPA(Corrective Action and Preventive Action)のうち「CA:Corrective Action」に当たります。JIS Z 8002 / ISO 9000の日本語訳では「是正処置」と表記しますが、QMS省令の条文見出しや実務では「是正措置」の表記も広く使われており、いずれも同じプロセスを指します。
是正措置の目的
是正措置の目的は、発生した不適合をその場しのぎで片づけるのではなく、原因そのものを取り除いて同じ不適合が繰り返し発生しないようにすることです。QMS省令は、是正措置を通じて品質管理監督システムの実効性を継続的に維持・向上させることを求めています。
QMS省令・ISO 13485上の位置づけ
是正措置の要求事項は、QMS省令第63条(是正措置)に規定されています。ISO 13485:2016では8.5.2 Corrective actionに相当し、要求内容はほぼ一致します。
第63条第1項は「発見された不適合による影響に応じて、当該不適合の再発を防ぐために必要な全ての是正措置を遅滞なくとらなければならない」と定めています。さらに第2項では、是正措置に係る手順として、不適合の照査・原因の特定・再発防止の必要性評価・計画の策定と記録・実効性の検証などを文書化することを求めています。
是正措置の基本ステップ
QMS省令第63条第2項が求める事項を実務の流れに沿って整理すると、次の6ステップになります。
- 不適合の照査:製品受領者の苦情を含め、発見された不適合の内容を確認する。
- 原因の特定:表面的な事象ではなく、不適合を引き起こした原因を特定する。
- 必要性の評価:不適合が再発しないことを確保するための措置が必要かどうかを評価する。
- 計画の策定・記録・実施:所要の是正措置に係る計画を策定し、内容を記録したうえで実施する(計画に変更が生じた場合は計画・記録を更新する)。
- 悪影響の検証:是正措置が法令の規定等への適合性や、医療機器等の意図した用途に応じた機能・性能・安全性に悪影響を及ぼさないか検証する。
- 実効性の照査:是正措置をとった場合には、その実効性について照査する。
社内様式の設計や具体的な進め方は、CAPA実践ガイドでより実践的に解説しています。
修正・是正処置・予防処置の違い【比較表】
CAPAの現場では「修正」「是正処置(是正措置)」「予防処置(予防措置)」の3つが混同されがちです。QMS省令上の定義とタイミングの違いを整理すると、以下のとおりです。
項目 | 修正(Correction) | 是正処置(Corrective Action、是正措置) | 予防処置(Preventive Action、予防措置) |
|---|---|---|---|
QMS省令上の定義 | 発見された不適合を除去するための措置(第55条の2第1項第6号) | 不適合の再発を防止するために不適合の原因を除去する措置(第19条第1項第7号、第63条) | 起こり得る不適合の発生を防止するために、その原因を除去する措置(第19条第1項第8号、第64条) |
対応のタイミング | 不適合を発見した直後 | 不適合の原因を特定した後(再発防止) | 不適合がまだ発生していない段階(未然防止) |
対象 | 今、目の前にある不適合そのもの | 不適合を引き起こした原因 | 将来起こり得る潜在的な不適合の原因 |
具体例 | 不良品の選別、出荷停止、回収 | 製造工程の見直し、検査基準の変更、教育訓練の強化 | 類似工程・類似製品への横展開、リスクアセスメントに基づく事前対策 |
ISO 13485:2016との対応 | 独立した箇条はなし(苦情処理8.2.2・内部監査8.2.4等、是正措置とセットで使われる概念) | 8.5.2 Corrective action | 8.5.3 Preventive action |
なお、「是正処置」はJIS Z 8002 / ISO 9000の日本語訳に基づく表記、「是正措置」はQMS省令の条文見出しで使われる表記で、指しているプロセスは同じです。検索では「是正措置」の表記で調べられることが多い傾向にあります。









