QMSの不適合品管理とは?
医療機器のQMS(品質管理監督システム)において、不適合品管理は非常に重要な要素の一つです。不適合品管理とは、要求事項を満たしていない製造所からの出荷判定前製品を特定し、適切に対処するためのシステムや手順のことを指します。
具体的な定義
- 不適合品の特定:品質基準や仕様を満たしていない製品、構成部品を検出すること
- 隔離と管理:特定された不適合品を適合品から分離し、誤って使用や出荷されないように管理すること
- 評価と修正処置:不適合品の影響範囲、原因を分析し、適切な対応策(手直し、廃棄、特別採用など)を決定し実施すること
- 記録と報告:不適合の内容、原因、対応策、再発防止要否などを文書化し、関係者に報告すること
主な目的
- 製品の品質と安全性の確保:不適合品が市場に出回ることを防ぎ、患者の安全を守ります。
- 法規制の遵守:医療機器に関する各種法規制や基準への適合を確実にします。
- 継続的な改善:不適合品の原因分析を通じて、製造プロセスや品質管理システムの改善につなげます。
- コスト削減:不適合品の早期発見と適切な対応により、無駄な生産や返品、クレーム対応のコストを削減します。
- 顧客満足度の向上:高品質な製品を提供することで、医療機関や患者からの信頼を獲得します。
QMSにおける不適合品管理は、単なる不適合品の排除にとどまらず、組織全体の品質向上と継続的改善を推進する重要な役割を担っています。適切な不適合品管理システムを構築し運用することで、医療機器メーカーは製品の品質と安全性を確保し、規制要件を満たしながら、市場での競争力を維持・向上させることができるのです。
「不適合」とは?不適合品・不良品との違い
不適合とは、QMS省令をはじめとする品質関連の要求事項に適合していない状態を指す用語です。製品そのものだけでなく、工程・記録・品質管理監督システムの運用が要求事項を満たしていない場合も「不適合」に含まれる点が、実務上のポイントです。「不適合とは何か」を検索する方の多くは、社内で不適合報告書を作成する際や、規制当局の調査に備えて用語の定義を確認したいケースが多いため、まずは「不適合」「不適合品」「不良品」という混同されやすい3つの用語の違いから整理します。
不適合・不適合品・不良品の違い
現場ではこの3つがほぼ同じ意味で使われがちですが、法令上の位置づけは明確に異なります。
用語 | 意味 | 法令上の位置づけ |
|---|---|---|
不適合 | 要求事項に適合しない状態全般。製品に限らず、工程・記録・品質管理監督システムの運用上の不備も含む上位概念 | QMS省令第19条第1項第7号のかっこ書きで「この省令に規定する要求事項等に適合しないこと」と定義され、「以下同じ。」との規定により省令全体で共通して用いられる |
不適合品(不適合製品) | 不適合のうち、「製品」自体に該当するもの | QMS省令第60条第1項で「製品要求事項に適合しない製品(以下「不適合製品」という。)」と定義 |
不良品 | 外観のキズや性能不足など、品質上の欠陥がある製品を指す現場での口語的な表現 | QMS省令上の法定用語ではない。QMS省令上は不良品も区別されず「不適合製品」として第60条以下の規定に基づき一元的に管理される |
不適合の例
不適合は発生する場面によって、大きく次のように分類できます。日々の品質記録を分類・集計する際の切り口としても役立ちます。
- 製品の不適合:寸法・外観・性能が規格を満たさない、表示や添付文書の記載誤り
- 工程の不適合:手順書に従わない作業、製造環境(温湿度等)が管理値を外れた状態
- 供給者に起因する不適合:購買物品等の受入検査で発見される規格外の部品・原材料
- システムの不適合:内部監査での指摘事項、教育訓練の未実施、記録の不備









