【専門家監修】CSVバリデーションとは?医療機器QMSのCSA実務

CSVバリデーションとは?医療機器QMSのCSA実務

目次

この記事の監修者

中野 裕士

医療機器メーカー代表/QMSmart開発者

中野 裕士

CSV(コンピュータ化システムバリデーション)とは、業務に使用するコンピュータシステムが意図したとおりに機能することを検証し、その根拠を記録として残す活動です。医療機器メーカーにとっての根拠条文はQMS省令第5条の6(ソフトウェアの使用)であり、検索でよく出てくる医薬品向けのCSVガイドラインは適用されません。しかも省令と施行通知は、すでにリスクに応じた軽量化を明文で認めています。本記事では対象となるソフトウェアの切り分け、用途別の3条文マップ、実務5ステップ、GAMP 5 第2版とFDAのCSA(Computer Software Assurance)の使い方を、チェックリスト付きで整理します。

CSV(コンピュータ化システムバリデーション)とは?医療機器QMSでの位置づけ

CSVはComputerized System Validationの略で、日本語では「コンピュータ化システムバリデーション」と呼ばれます。医療機器メーカーの場合、対象になるのは品質管理監督システム(QMS)の運用に使うソフトウェアで、根拠条文はQMS省令第5条の6(ソフトウェアの使用)です。表計算ファイルの拡張子であるComma-Separated Values(.csv)とは無関係の用語で、社内では正式名称で会話するほうが早く合意できます。

対象は「QMSに使うソフトウェア」— 製品に組み込むソフトウェアとは別物

第5条の6の対象は、自社のQMSを動かすために使うソフトウェアです。医療機器そのものに該当するソフトウェアや製品に組み込むソフトウェアは対象が異なり、別の枠組みで検証します。

施行通知(薬生監麻発0326第4号。令和7年1月31日一部改正後の版を参照しています)10.第5条の6関係(2)は、品質管理監督システムに使用するソフトウェアに含まれうるものと、対象にならないものを次のように示しています。

区分

ソフトウェアの例

対象になりうる

製造のための指示などに関連する基幹系情報システム(ERP、MES)

対象になりうる

文書・記録の管理システム

対象になりうる

CAD(コンピュータによる設計支援ツール)

対象になりうる

苦情、不適合、是正・予防措置管理システム

対象ではない

経理処理に使用されるソフトウェアや、事務処理に使用されるソフトウェア等の医療機器の品質、安全性又は有効性に影響しないソフトウェア

4種類は「含まれうるもの」として示された例示で、限定列挙ではありません。判断の軸は、そのソフトウェアが医療機器の品質、安全性又は有効性に影響するかどうかです。棚卸しの際は製品名ではなく「そのシステムでどのQMS記録を作っているか」で仕分けてください。なおERP・MESがここに挙げられているのは「製造のための指示などに関連する基幹系情報システム」としてであり、製品カテゴリとして第5条の6に固定されるわけではありません。使い方によっては第45条側になります(次の3条文マップを参照してください)。

一方、医療機器製品に組み込むソフトウェアの検証は設計開発の枠組みで扱い、本記事の対象外です(QMSのソフトウェアバリデーションとは?、IEC 62304とは?)。両者を混同したまま手順書を作ると、対象範囲の定義が破綻します。

法的根拠はQMS省令第5条の6(ソフトウェアの使用)

QMS省令第5条の6は全4項で構成され、手順の文書化・実施時期・リスクに応じた実施・記録の作成保管を求めています。施行通知10.第5条の6関係(1)は、この条がISO 13485:2016の「4.1.6」に相当すると示しています。

  • 第1項: 当該ソフトウェアの適用に係るバリデーションについて手順を文書化する
  • 第2項: 初めて使用するとき、及び当該ソフトウェア又はその適用を変更するときは、あらかじめバリデーションを行う(変更前に行う必要がない正当な理由を示せる場合は変更後でも足りる)
  • 第3項: 第2項に規定するバリデーションを行うときは、使用に伴うリスク(当該ソフトウェアの使用が製品に係る医療機器等の機能、性能及び安全性に及ぼす影響を含む)に応じて行う
  • 第4項: 第2項のバリデーションから得られた記録を作成し、保管する

見落としやすい点が1つあります。第1項の括弧書きは「限定第三種医療機器製造販売業者(限定一般医療機器のみを製造販売する製造販売業者をいう。以下同じ。)を除く。以下この条において同じ。」としているため、この適用除外は第1項だけでなく第5条の6の全体に及びます。

ここで最も誤りやすいのが、自社が本当にこの除外に当たるかの判定です。「一般医療機器を作っている=限定一般医療機器を作っている」ではありません。限定一般医療機器はQMS省令第5条の5第3項が定義しており、「一般医療機器のうち製造管理又は品質管理に注意を要するものとして厚生労働大臣が指定する医療機器以外の医療機器」を指します。その大臣指定は平成26年厚生労働省告示第316号(平成26年8月6日。令和3年厚生労働省告示第104号により題名を改正)が定めており、指定対象は一般医療機器のうち「別表に掲げるもの及び製造工程において滅菌されるもの」です。つまり、別表に掲げられた一般的名称に当たる品目や、製造工程で滅菌する品目は限定一般医療機器ではなく、それらを製造販売していれば限定第三種医療機器製造販売業者にも当たりません。

自社の該当性は2段階で判定してください。①自社品目の一般的名称を告示第316号の別表と突き合わせる、②製造工程に滅菌が含まれるかを確認する、の2つです。②は別表を見ただけでは分からないため、最も落としやすい条件です。告示の全文は厚生労働省の法令等データベースで閲覧できます。判断に迷う場合は都道府県の薬務主管課またはPMDAに確認してください。

そして、第5条の6の対象外であってもISO 13485:2016の4.1.6は別途要求されます。 QMS省令の適用除外は、ISO 13485の認証審査には及びません。第三者認証やISO 13485認証を維持している場合は、省令上の除外に当たっても4.1.6に基づくバリデーションの記録が必要になります。審査でソフトウェアのバリデーション記録を求められた場合は、要求の根拠となっている箇条を審査機関に確認したうえで対応してください。本記事の成果物の最小セットと導入前チェックリストは、省令上の除外に当たる場合でも4.1.6への対応にそのまま使えます。

対象者についても補足が必要です。第5条の6は、第83条第1項により登録製造所に係る製造業者等(受託製造を行う登録製造所を含む)にも準用されます。同条第2項により、第5条の6第1項の「限定第三種医療機器製造販売業者」は「限定第三種医療機器製造業者等」と、「製造販売する製造販売業者」は「製造する登録製造所に係る製造業者等」と読み替えます。ただし第83条第1項ただし書きにより、当該製品について当該登録製造所が行う工程に照らし、その品質管理監督システムに適用することが適当でないと認められる規定は適用しないことができ、その場合は当該製品に係る品質管理監督システム基準書にその旨を記載しなければなりません。また輸出用の医療機器等に係る製品の製造業者についても、第82条第1項により準用されます。ERPや文書管理システムを使っている登録製造所が「自社は製造販売業者ではないから第5条の6は関係ない」と判断するのは誤りです。

どのソフトウェアにどの条文が掛かるか(3条文マップ)

QMS省令はソフトウェアのバリデーションを用途別に3か所で要求しています。同じ「ソフトウェアのバリデーション」でも根拠条文が違うため、対象を取り違えると手順書と記録の置き場所を間違えます。

ソフトウェアの用途

根拠条文

手順

実施時期

リスク

記録

ISO 13485:2016

品質管理監督システムに使用

第5条の6

第1項

第2項

第3項

第4項

4.1.6

製造及びサービスの提供に使用

第45条第4項〜第7項

第4項

第5項

第6項

第7項

7.5.6

監視及び測定に使用

第53条第8項〜第11項

第8項

第9項

第10項

第11項

7.6

ISO 13485:2016の箇条との対応は施行通知10.第5条の6関係(1)、54.第45条関係(1)、61.第53条関係(1)に示されています。用語の意味も通知が説明しており、施行通知54.第45条関係(6)は第45条第4項の「ソフトウェアの適用に係るバリデーション」を、そのソフトウェアが意図した通りに適用されるかどうかを確認するものと説明しています。

施行通知61.第53条関係(4)は、第53条第9項のバリデーションが適用される例として、製品の試験や工程の監視及び測定(パラメータが要求を満たしているか確認する等)等に使用するソフトウェアと、計測器とパソコンが接続され、計測器から計測した結果がパソコンに転送されて何らかの処理がなされる場合の2つを挙げています。試験室のパソコンに入っている解析ソフトが、最も見落とされやすい対象です。なお工程そのもののバリデーション(第45条第1項〜第3項)は本記事の対象外で、QMSの製造工程バリデーションとは?で解説しています(第45条第7項の記録要求は、工程側とソフトウェア側の双方に掛かる共通の項です)。

判断の軸は、システムの製品名ではなく用途です。条文はそれぞれ「品質管理監督システムにソフトウェアを使用する場合」(第5条の6第1項)、「製造及びサービスの提供にソフトウェアを使用する場合」(第45条第4項)、「監視及び測定のためにソフトウェアを使用する場合」(第53条第8項)と書き分けています。区分はERPやMESといった製品カテゴリで決まるわけではなく、そのソフトウェアを何に使っているかで決まります。

そして1つのシステムが複数の条文に跨がることは普通に起こります。MESであれば、工程指示や工程パラメータの制御に使う機能は第45条第4項〜第7項、そこで作った品質記録を管理監督する機能は第5条の6、試験結果の取得・処理に使う機能は第53条第8項〜第11項に分かれます。LIMSも、試験結果を取得・処理する機能は第53条側、試験記録の保管や承認ワークフローは第5条の6側です。機能単位で用途を書き出し、それぞれをどの条文に載せるかを決めてください。施行通知14.第8条関係(3)は、文書化が要求される手順書として1)品質管理監督システムに使用するソフトウェアの適用のバリデーション(第5条の6第1項)、14)製造工程等の提供に使用するソフトウェアの適用のバリデーション(第45条第4項)、21)測定等に使用するソフトウェアの適用のバリデーション(第53条第8項)を別個に列挙しており、記録の置き場所も第5条の6第4項/第45条第7項/第53条第11項に分かれます。

省令にも施行通知にも、この切り分けの明文の基準はありません。参考になるのは、PMDAが掲載している厚生労働科学研究班のガイダンス(2020年2月作成。通知ではなく研究班の作成資料です)で、ISO 13485の箇条について「4.1.6項では7.5.6項・7.6項で求められる以外のQMSで用いられるソフトウェアが対象である」と整理しています。第45条・第53条に当たるものを先に切り出し、残りを第5条の6に置く、という順序で考えると迷いにくくなります。用途区分の判定に迷う場合も、都道府県の薬務主管課またはPMDAに確認してください。

医薬品のCSVガイドラインは医療機器には適用されない

「CSV」で検索して最初に出てくる解説は、ほぼ医薬品向けのものです。厚生労働省の「医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドライン」(薬食監麻発1021第11号/平成22年10月21日/平成24年4月1日適用)は、その「1.目的」で対象を「GMP省令の適用を受ける医薬品又は医薬部外品を製造販売する製造販売業者又は製造する製造業者等」と定義したうえで、「2.適用範囲」で「コンピュータ化システムを使用してGQP省令及びGMP省令が適用される業務を行う製造販売業者等に適用する」としています。名宛人がGMP省令の適用を受ける医薬品・医薬部外品の事業者に限られているため、医療機器には適用されません。

医療機器及び体外診断用医薬品はQMS省令(平成16年厚生労働省令第169号)が適用される別体系です。体外診断用医薬品は名称に「医薬品」を含みますが、GQP省令は品質管理業務の対象を「医薬品(体外診断用医薬品及び原薬たる医薬品を除く。)」、GMP省令も「医薬品(体外診断用医薬品を除く。)」と定義しており、いずれも体外診断用医薬品には適用されません。同ガイドラインの手法を参考にすることは可能ですが、そのまま持ち込むと省令が求めていない成果物まで作る過剰対応になります。逆に「医薬品の話だから関係ない」と読み替えて第5条の6への対応を落としているケースもあり、こちらはQMS適合性調査で指摘されます。なお電磁的記録・電子署名の取扱い(ER/ES指針)への対応方法はソフトウェアバリデーション実践ガイドで解説しており、本記事では扱いません。

医薬品と医療機器の双方を扱う事業者は、この「適用されない」の射程に注意してください。適用されないのはシステムに対してではなく、医療機器側の業務に対してです。 同じシステムであっても、医薬品側の業務に使っている部分には引き続き医薬品側の要求が掛かります。文書管理システムやLIMSを両方の体系で共用している場合、医療機器側の手順だけに一本化すると、医薬品側で説明が立たなくなります。共用システムは、どちらの業務に使うかで適用される要求が変わるため、業務単位で対象を切り分けて手順に落としてください。医療機器側の対応を「医薬品の話だから関係ない」と落とすのも、医薬品側の対応を自社全体の結論として降ろすのも、どちらも誤りです。

QMS省令はすでに「リスクに応じた軽量化」を認めている

第5条の6第3項は、バリデーションを「使用に伴うリスクに応じて」行うことを求めています。これは労力を増やす要求ではなく、リスクが低いものには薄く、高いものには厚く配分してよいという趣旨です。

第3項の趣旨は「管理の程度を定めること」

施行通知10.第5条の6関係(5)は、第3項について「バリデーション及び再バリデーションの実施は、当該ソフトウェアの使用によるリスクに応じて、管理の程度を定めることを意図したものである」と説明しています。つまり、すべてのシステムに同じ様式のテスト記録を作る必要はありません。

施行通知が示す軽量化の2つの根拠

同じ通知は、労力を下げられる具体的な場面を2つ示しています。

1つ目は変更時です。施行通知10.第5条の6関係(4)は、表示上の変更や操作手順の合理化等の品質、有効性及び安全性に影響がないと判断できる変更について、①その変更内容を明確にし、変更前にバリデーションが不要であることを文書で示すか、②あらかじめバリデーションを不要とする変更範囲を文書で明示することにより、変更前のバリデーションを不要とすることができるとしています。②を先に整備しておけば、軽微なアップデートのたびに判断書を作る必要がなくなります。

2つ目は導入時です。同(5)は「例えば、リスクが低いソフトウェア導入時においては、入力に対して出力が適切であるか等の確認をもって、当該ソフトウェアのバリデーションとすることができる」としています。低リスクなら入出力の確認をもってバリデーションとしうる、と国内の通知が例示として明記している点は、実務上かなり大きな意味を持ちます。

ただし、ここで挙げた2つの具体例は、通知上はいずれも第5条の6側のものです。 「リスクに応じて管理の程度を定める」という趣旨自体は、第45条側(施行通知54.第45条関係(8))と第53条側(同61.第53条関係(5))にも書かれています。一方で「入力に対して出力が適切であるか等の確認をもってバリデーションとすることができる」(10.(5))と「変更前のバリデーションを不要とすることができる」(10.(4))は、通知の中では第5条の6関係にしか書かれていません。MESや試験室の解析ソフトのように第45条・第53条側に載る案件で、この2つをそのまま根拠にすることはできません。

もっとも、変更前バリデーションの回避については条文に同じただし書きがあります。第45条第5項と第53条第9項は、第5条の6第2項と同一の文言で「当該ソフトウェア又はその適用の変更前にバリデーションを行う必要がない正当な理由を示すことができる場合においては、当該ソフトウェア又はその適用の変更後にバリデーションを行えば足りる」としています。通知10.(4)が示す2つの経路を第45条・第53条側でもそのまま使えるとは書けませんが、「正当な理由を示す」という条文上のルートは3条に共通です。

第53条側には固有の例示もあります。施行通知61.第53条関係(5)は「例えば、製品や工程への影響度により、設備や器具のバリデーションの方法や頻度などを決定することが考えられる」として、頻度による軽量化を挙げています。監視及び測定に使うソフトウェアについては、この頻度の調整が実務上の効きどころです。

参照できる技術文書:ISO/TR 80002-2:2017

施行通知10.第5条の6関係(5)は、品質管理監督システムに使用するソフトウェアの適用のバリデーションについて、ISO/TR 80002-2を参照することができるとしています。第45条側(施行通知54.(8))と第53条側(同61.(5))では、「当該ソフトウェアの管理には」という形で同じ技術報告書が挙げられています。

ISO/TR 80002-2:2017の表題は「Medical device software — Part 2: Validation of software for medical device quality systems」(第1版・2017年)で、スコープはISO 13485に記述された医療機器品質システムを自動化するソフトウェアです。ソフトウェア自体が医療機器であるものや、医療機器の構成部品、部分又は附属品として使用されるソフトウェアは対象外とされており、3条文マップの3用途と範囲が一致します。参照「することができる」であって義務ではない点も含め、本記事では表題とスコープに限って紹介します。

CSVの実務手順:計画から報告までの流れ

第5条の6は成果物の名前や様式を指定していません。実務では計画・要求仕様・リスク評価・検証・報告の5ステップに整理し、各段階の記録を残す形が扱いやすくなります。

ステップ1 バリデーション計画

対象システム、範囲、体制、判定基準、作成する成果物を決めます。ここで「どこまでやれば終わりか」を先に定義しないと、検証が延々と続きます。

ステップ2 要求仕様の明確化

そのシステムに何ができれば「意図した用途に適合している」といえるのかを、検証可能な形で書き出します。「使いやすいこと」は検証できませんが、「承認者以外は発行できないこと」は検証できます。

ステップ3 リスク評価

第5条の6第3項が求める工程です。品質、安全性又は有効性への影響の大きさを評価し、以降の検証の厚みをここで決めます。実務上、労力配分の説明責任はこの記録が担います。

ステップ4 検証

要求仕様の各項目に対して、検証の方法と結果を1対1で対応づけます。この対応づけの考え方は一般に「V字モデル」と呼ばれます。ただしGAMP 5 第2版は、V字モデルを唯一の型とはせず、アジャイル開発を含む複数のライフサイクルモデルを認めています(Appendix D8)。重要なのは図の形ではなく、要求仕様と検証結果の追跡可能性が確保されていることです。

なお実務で頻出するIQ(据付時適格性確認)/OQ(運転時適格性確認)/PQ(性能適格性確認)は、医薬品のCSVや製造設備のバリデーションで広く使われてきた枠組みで、QMS省令の条文には登場しない用語です。第5条の6はこの3段階を要求していないため、様式を合わせること自体が目的化しないよう注意してください。用いる場合は、各段階で何を確認するのかを自社の手順書で定義しておく必要があります。

ステップ5 報告と運用

意図した用途への適合を宣言する結論をまとめ、記録を作成・保管します(第4項)。運用開始後は、変更のたびに再バリデーションの要否を判断し、その判断自体を記録します。

CSV成果物の最小セット

第5条の6の全4項に対応させると、必要な成果物は次の8点に収まります。様式は自由なので、既存の手順書体系に組み込める形にしてください。リスクが低い場合でも第1項から第4項までの要求自体が消えるわけではないため、軽量化が効くのは8点の枠を減らすことではなく、各文書の分量と検証の厚みを落とすことです。

  • [ ] バリデーションの手順書(第1項)— 対象の特定方法・リスク評価の方法・成果物・承認者を定めている
  • [ ] 対象システム一覧と、第5条の6/第45条/第53条のどれに該当するかの区分
  • [ ] バリデーション計画書(範囲・体制・判定基準・成果物)
  • [ ] 要求仕様(意図した用途を検証可能な形で記述したもの)
  • [ ] リスク評価の結果(検証の厚みを決めた根拠)
  • [ ] 検証の記録(実施者・実施日・結果・発見された不具合とその処理)
  • [ ] バリデーション報告書(適合を宣言する結論と承認)
  • [ ] 変更時の再バリデーション要否の判断記録(施行通知10.第5条の6関係(4)が求める文書)

GAMP 5 第2版が示す考え方と労力の配分

ISPE GAMP 5 第2版は、コンピュータ化システムのバリデーションをリスクベースで進めるための業界ガイドです。規制要求ではないため「GAMP 5に従っている」ことが第5条の6への適合の証明にはなりませんが、労力配分を説明する枠組みとして実務で広く参照されています。

正式名称は「ISPE GAMP® 5 Guide: A Risk-Based Approach to Compliant GxP Computerized Systems」(Second Edition)で、2022年7月にISPEから発行された404ページの文書です。

ソフトウェアカテゴリは「チェックリスト」ではない

ソフトウェアのカテゴリ分類はAppendix M4(Categories of Software and Hardware)が扱います。第2版のSection 12.1.1は、コンピュータ化システムは一般に異なるカテゴリの構成要素の組合せから成るため、カテゴリはシステム全体ではなく構成要素単位で捉え、連続体(continuum)とみなすべきであるとしています。

あわせて第2版は、カテゴリ分類はバリデーションのチェックリスト的アプローチを提供する意図のものではないと明記しており、ライフサイクル活動は構成要素の性質と特定されたリスクに基づいてスケーリングされるべきものとされています。「カテゴリ番号を決めれば作る文書が自動的に決まる」という運用は、第2版の趣旨から外れます。本記事ではカテゴリ番号ごとの定義には踏み込みません。

第2版で強化された点

第2版ではAppendix D8(Agile Software Development)が新設され、Critical Thinkingは第3章3.4(Critical Thinking Through the Life Cycle)とAppendix M12に位置づけられています。テストについてはAppendix D5(Testing of Computerized Systems)と第8章Efficiency Improvements(8.5 Using Efficient Testing Practices)があり、探索的テスト等の非スクリプト技法の活用が推奨されています。表計算ソフトなどのエンドユーザーアプリケーションはAppendix S3が扱います。

第2版はFDAのCSAの概念を取り込んでおり、次章のCSAと方向性は一致しています。ただしGAMP 5はGxP(医薬品等)向けのガイドであり、医療機器で使う場合は「QMS省令の要求を満たす手段の一つ」という位置づけを崩さないことが重要です。QMS適合性調査で説明すべきは、第5条の6の各項に対して自社が何をしたかです。

CSA(Computer Software Assurance)— FDAが示すリスクベースのアシュアランス

CSA(Computer Software Assurance)は、生産及び品質マネジメントシステムに使用するソフトウェアについて、意図した用途とプロセスリスクに応じてアシュアランス活動の厚みを変えるという米国FDAの考え方です。現行版は「Computer Software Assurance for Production and Quality Management System Software」(2026年2月3日発出)です。2025年9月24日発出の最終版(当時の題名は「…and Quality System Software」)を差し替えたもので、QMSR施行に合わせて題名の「Quality System」が「Quality Management System」に改められています。旧版を参照している場合は差し替えてください。

ガイダンスの版の位置づけや電子記録・電子署名側の要求は21 CFR Part 11とは?で扱います。

米国側でバリデーションを求めているのは21 CFR Part 820(2026年2月2日に施行されたQMSRでISO 13485:2016を引用しています)であり、CSAガイダンスはその要求を満たすうえで製造業者が検討しうるリスクベースのアプローチを示す文書だと、ガイダンス自身が位置づけています。

このガイダンス自身も、バリデーション要求の根拠としてISO 13485の4.1.6、7.5.6、7.6を挙げています。3条文マップで示した第5条の6・第45条・第53条に対応する箇条であり、日本のメーカーにとっても「同じ3つの要求に対する進め方の提案」として読めます。以下は同ガイダンスが示す枠組みのうち、アシュアランス活動の決め方に関する部分です。

ステップ1 意図した用途を特定する

システム単位ではなく、原則としてfeatures/functions/operations(機能・操作)の単位で意図した用途を見ます。ただし意図した用途が1つしかない単純な場合(そのソフトウェアの機能・操作がすべて同じ用途を共有している場合)は、機能ごとに個別に見ることが有用とは限らず、ソフトウェア全体の意図した用途に基づいてリスクベースの進め方を組み立ててよいとされています。用途は「直接使用」と「支援」に分けて整理されています。

  • 直接使用: 生産工程・検査・試験・生産データの収集処理の自動化/QMSプロセス・QMSデータの収集処理の自動化/適用される品質マネジメントシステム上の義務に基づき作成される品質記録の維持
  • 支援: 生産・QMSに使うソフトウェアを試験・監視する開発ツールやテスト自動化ツール(スクリプトの開発・実行に使うものや、製造設備に組み込まれたファームウェア等を含む)/品質記録に当たらない一般的な記録管理

どちらもバリデーションの対象ですが、支援用途はリスクが低いことが多く、労力を下げられます。対象外の例として、メールや会計など生産・QMSに固有でない業務アプリケーションと、ネットワークやユーザー認証、事業継続(バックアップ・復元)など生産・QMSに固有でないインフラが挙げられています。施行通知10.第5条の6関係(2)ただし書きの考え方とほぼ同じ線引きです。

ただし「固有でない」という限定には注意が必要です。ガイダンスはIaaSのクラウドストレージを例に挙げ、インフラに分類されるものであっても、品質マネジメントシステム上の義務に基づき作成される品質記録の保管に使う場合は、生産又はQMSの一部として「直接使用」されているものとみなされるとしています。この場合は、記録の完全性に関わる機能と、保管する記録に適用される21 CFR Part 11の要求にアシュアランスの労力を集中させることが推奨されています。

ステップ2 「高プロセスリスク(high process risk)」かを判定する

高プロセスリスクとは、機能不全が安全性を予見可能な形で損なう品質問題を招くおそれがある場合を指します。ガイダンスは次のような例を示しています。

判定

例

高プロセスリスクに当たる

製品の物理的特性又は製造工程に影響し、機器の安全性に不可欠と特定される工程パラメータの維持/人の確認が限定的又は無い状態で製品・工程を測定・検査・分析し、又は合否を判定/人の確認なしに工程パラメータを自動補正/患者・使用者に提供される添付文書その他の表示のうち、当該医療機器の安全な操作に必要なものの生成/製造業者が機器の安全性(サイバーセキュリティ等)及び品質に不可欠と特定したデータの監視・傾向分析・追跡の自動化

高プロセスリスクに当たらない

生産・工程性能に直接影響しない監視・照査目的のデータ収集記録/CAPAのルーティング、苦情の自動記録追跡、変更管理、手順管理/データの管理(処理・保管・整理)、既存工程における計算の自動化・監視強化・例外時のアラート/上記の「支援」用途

多くのメーカーが最初に電子化する文書管理・CAPA・苦情処理は、下段に位置づけられています。「eQMSの導入だから重厚なバリデーションが必要」という前提は、この枠組みでは成り立ちません。

ステップ3 アシュアランス活動を選ぶ

アシュアランス活動としては、スクリプトテスト(scripted testing/テストケースをあらかじめ文書化して実行する)と非スクリプトテスト(unscripted testing)が代表例として挙げられています(ガイダンスは網羅的な列挙ではないと明記しています)。後者にはシナリオテスト(アドホックテスト)と経験ベーステスト(エラー推測、探索的テスト)が含まれます。

高プロセスリスクに該当する機能にはより厚い活動(スクリプトテスト、またはスクリプトと非スクリプトのハイブリッド)を、該当しない機能には非スクリプト中心の活動を割り当てます。ただしこの対応は排他的ではなく、リスクの低い機能にスクリプトテストを使うことも否定されていません。

ステップ4 記録は「必要以上に作らない」

記録に含めるべきものは、意図した用途、リスク評価の結果、そして実施したアシュアランス活動の文書化です。後者にはテストの内容、発見された不具合、意図した用途への適合性を宣言する結論(不具合が見つかった場合は、その解消を結論に含めることが推奨されています)、実施者と実施日、必要な場合の照査・承認が含まれます。

スクリーンショットの束や紙への複製ではなく、システムログや監査証跡といったデジタル記録を活用することが推奨されています(least-burdensomeの考え方)。なおバリデーション記録そのものの完全性の確保はデータインテグリティ(ALCOA+)の実践ガイドで解説しています。

日本の第5条の6とCSAは同じ方向を向いている

ここまで見たCSAの進め方は、第5条の6と施行通知の要求に素直に対応づけられます。

CSAの考え方

日本側で対応する要求

意図した用途を機能単位で特定し、対象外を切り分ける

施行通知10.第5条の6関係(2)の対象例と「品質、安全性又は有効性に影響しないソフトウェアは対象ではない」

プロセスリスクに応じて活動の厚みを変える

第5条の6第3項/施行通知10.(5)「リスクに応じて、管理の程度を定める」

低リスクには軽い確認で足りる

施行通知10.(5)「入力に対して出力が適切であるか等の確認をもって…バリデーションとすることができる」

記録は必要以上に作らず、用途・リスク評価・実施した活動・結論を残す

第5条の6第1項(手順の文書化)・第4項(記録の作成・保管)

ただしCSAは米国FDAのガイダンスであり、日本の第5条の6への適合根拠にはなりません。使えるのは実務の設計思想としてであって、説明の軸は場面によって変わります。QMS適合性調査で説明すべきは省令の各項に対して自社が何をしたかであり、ISO 13485審査で説明すべきは該当する箇条(4.1.6・7.5.6・7.6)に対して何をしたかです。

一方で、日米双方の規制を受けるからといって記録一式を二重に作る必要はありません。CSAの進め方で実施した活動そのものは、第5条の6・第45条・第53条の各項に対応づけて説明できるのであれば、省令側の記録としても使えます。分けるべきなのは記録ではなく説明の構成です。

eQMS・表計算ソフトのバリデーション実務チェックリスト

自社で開発していない既製品やSaaSであっても、第5条の6のバリデーションの責任は使用する製造販売業者等にあります。実務では、供給者評価で置き換えられる部分と自社環境で確認すべき部分を切り分け、後者に労力を集中させます。この章のチェックリストは第5条の6専用ではありません。第45条・第53条に当たるシステムでも、対応づける条項を読み替えればそのまま使えます(後掲の10項目は、1つ目でその区分の確認から始めています)。

既製品・SaaSは誰が何をやるのか

ベンダー側が保証できるのは、製品としての開発・検証です。供給者評価(ベンダー評価)でその体制と提供可能な文書の範囲を確認し、結果を記録に残します(サプライヤー評価と購買管理)。一方、自社の設定、アクセス権限、ワークフロー、運用手順を含めた「自社の意図した用途への適合」は自社の責任として残ります。「ベンダーがバリデーション済みだから自社は不要」という切り分けは成立しません。

eQMSを開発する側から見ると、導入時に顧客から求められる文書はほぼ共通しています。要求仕様に対応するテスト結果、監査証跡の仕様、アクセス権限の設計、そしてバージョンアップ時の変更内容の通知方法です。この4点を選定段階の質問リストに入れておくと、自社側で作る成果物の量を先に見積もれます。

表計算ソフトの落とし穴

CSAガイダンスは表計算ソフトを例に挙げています。基本の入力機能だけを使って読み取り値を記録する用途であれば、供給者評価と初期のインストール・設定の確認で足りうるとされ、独自の数式を作って生産やQMSに直接使う場合は追加のバリデーションが必要になりうるとされています。

分岐点は「表計算ソフトを使っているか」ではなく「自社がロジック(数式・マクロ・スクリプト等)を作っているか」です。作っているなら、その数式は自社が作ったロジックとして検証の対象になり、追加のリスク評価とデータインテグリティの考慮が必要になりえます。記録の完全性そのものについてはデータインテグリティ(ALCOA+)の実践ガイドを参照してください。

導入前に押さえる10項目

  • [ ] 第5条の6/第45条/第53条のどれに該当するかを区分した
  • [ ] 意図した用途を機能単位で書き出した(誰が・何の記録を・どう処理するか)
  • [ ] 品質、安全性又は有効性への影響を評価し、リスクの高低を判断した
  • [ ] リスクに応じて検証の厚み(スクリプト/非スクリプト)を決めた
  • [ ] 供給者評価を実施し、結果を記録した
  • [ ] ベンダーから入手できるバリデーション用文書の範囲を確認した
  • [ ] 自社の設定・アクセス権限・ワークフローを検証対象に含めた
  • [ ] 記録の保管期間とエクスポート手段を確認した
  • [ ] バージョンアップ時の再バリデーション判断基準を手順書に定めた
  • [ ] バリデーションを不要とする変更範囲をあらかじめ文書で明示するかを決めた

選定段階で分岐点になるのは、ベンダーがバリデーション用の文書を出せるか、そして監査証跡やアクセス制御が標準機能として備わっているかです。機能が足りないシステムを選ぶと、不足分を運用手順と手作業の記録で埋めることになり、軽量化どころか労力が増えます。電子QMS導入のメリットと課題を検討する段階であれば、QMSmartは監査証跡・電子署名・アクセス制御を標準機能として備えており、導入時のバリデーションを支援する「バリデーションキット」もあわせて提供しているため、バリデーション文書の整備を導入プロセスのなかで進められます。

よくある質問

CSV(コンピュータ化システムバリデーション)は医療機器メーカーにも義務ですか?

義務です。QMS省令第5条の6が、品質管理監督システムにソフトウェアを使用する場合の手順の文書化(第1項)、初回使用時と変更時のバリデーション(第2項)、リスクに応じた実施(第3項)、記録の作成・保管(第4項)を求めています。ただし限定第三種医療機器製造販売業者(限定一般医療機器のみを製造販売する製造販売業者)は、第1項の括弧書きが「以下この条において同じ」としているため、第5条の6の全体について対象外です。なお「一般医療機器のみを製造販売している」ことと「限定一般医療機器のみを製造販売している」ことは同じではありません。限定一般医療機器は一般医療機器のうち厚生労働大臣が指定するもの以外を指し、その指定は平成26年厚生労働省告示第316号の別表と、製造工程における滅菌の有無で決まります。該当性を確認したうえで判断してください。また省令上の適用除外は、ISO 13485:2016の4.1.6の要求には及びません。

医薬品の「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」に従う必要がありますか?

適用されません。同ガイドライン(薬食監麻発1021第11号/平成22年10月21日/平成24年4月1日適用)は、その「1.目的」で対象を「GMP省令の適用を受ける医薬品又は医薬部外品を製造販売する製造販売業者又は製造する製造業者等」と定義しており、「2.適用範囲」もその製造販売業者等がコンピュータ化システムを使用してGQP省令及びGMP省令が適用される業務を行う場合に限っています。医療機器はQMS省令が適用される別体系です。手法として参考にすることは可能ですが、その様式に合わせること自体が要求ではありません。

Excel(表計算ソフト)で管理している記録もバリデーションの対象ですか?

用途で決まります。品質管理監督システムの記録を維持する用途なら第5条の6の対象です。試験や測定の結果を取得・処理し、合否の判定に使っている場合は、第5条の6ではなく第53条第8項〜第11項が根拠条文になります(1つのファイルでも機能によって分かれます)。基本的な入力機能で読み取り値を記録するだけなら供給者評価と初期の設定確認で足りうる一方、独自の数式やマクロといったロジックを自社で作って判定や計算に直接使う場合は追加のバリデーションが必要になりえます。

クラウド(SaaS)のeQMSは、ベンダーがバリデーション済みなら自社では不要ですか?

不要にはなりません。ベンダーが提供できるのは製品側の検証で、自社の設定・権限・運用手順を含めた「自社の意図した用途への適合」は自社の責任です。実務では、供給者評価とバリデーション用文書の入手によって自社側の労力を下げる、という組み立てになります。

ソフトウェアをバージョンアップしたら毎回再バリデーションが必要ですか?

必ずしも必要ではありません。第5条の6第2項は変更時に「あらかじめ」バリデーションを求めていますが、施行通知10.第5条の6関係(4)は、表示上の変更や操作手順の合理化など品質、有効性及び安全性に影響がないと判断できる変更について、変更内容を明確にして変更前のバリデーションが不要であることを文書で示すか、あらかじめ不要とする変更範囲を文書で明示することにより、変更前のバリデーションを不要とできるとしています。

CSA(Computer Software Assurance)に従えばテストを省略できますか?

省略ではなく配分です。CSAは意図した用途とプロセスリスクに応じてアシュアランス活動の厚みを変える考え方で、高プロセスリスクに該当しない機能には非スクリプトテストを使えるとする一方、意図した用途・リスク評価の結果・実施した活動・結論・実施者と実施日といった記録は残ります。またCSAは米国FDAのガイダンスであり、日本の第5条の6への適合根拠にはなりません。ただし記録を日米で二重に作る必要はなく、CSAの進め方で実施した活動を第5条の6の各項に対応づけて説明できるのであれば、省令側の記録としても使えます。

まとめ

  • CSV(コンピュータ化システムバリデーション)の根拠はQMS省令第5条の6。第1項=手順の文書化、第2項=初回使用時と変更時にあらかじめ、第3項=リスクに応じて、第4項=記録の作成・保管。限定第三種医療機器製造販売業者は本条全体の対象外ですが、「一般医療機器のみを製造販売している」ことと「限定一般医療機器のみを製造販売している」ことは別で、該当性の確認が前提です(省令上の除外はISO 13485:2016の4.1.6には及びません)
  • 用途で条文が変わります。QMSに使う=第5条の6(ISO 13485:2016 4.1.6)/製造及びサービスの提供に使う=第45条第4項〜第7項(7.5.6)/監視及び測定に使う=第53条第8項〜第11項(7.6)
  • 医薬品のコンピュータ化システム適正管理ガイドライン(薬食監麻発1021第11号)は、名宛人をGMP省令の適用を受ける医薬品・医薬部外品の事業者に限っているため、医療機器には適用されません。参考にとどめ、様式を目的化しないこと
  • 省令はすでにリスクに応じた軽量化を認めています。施行通知10.第5条の6関係(4)(5)は、影響のない変更について変更前バリデーションを不要にできること、低リスクなら入出力の確認で足りることを明記しています。この2つの例示は通知上は第5条の6側のもので、第45条・第53条側は条文のただし書き(第45条第5項・第53条第9項)が共通の根拠になります
  • GAMP 5 第2版とFDAのCSAは設計思想として有用ですが、いずれも日本の適合根拠にはなりません。説明すべきは、QMS適合性調査では省令の各項、ISO 13485審査では該当する箇条(4.1.6・7.5.6・7.6)に対して何をしたかです

第5条の6のバリデーションは一度きりの作業ではありません。第2項が変更時にもバリデーションを求めているため、そのソフトウェアを使い続ける限り、変更のたびに要否の判断と記録が発生します。この判断と記録を人の記憶と表計算ファイルで回していると、数年後の適合性調査で経緯を説明できなくなります。導入の段階から監査証跡と版管理が標準で残る仕組みを選んでおくほうが、長期的な負荷は小さくなります。軽量化とは記録をなくすことではなく、残すべき記録が自動的に残る状態を作ることだと考えてください。

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