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【専門家監修】SaMD(プログラム医療機器)の規制とQMSガイド

SaMD(プログラム医療機器)の規制とQMSガイド

この記事の監修者

中野 裕士

医療機器メーカー代表/QMSmart開発者

中野 裕士

SaMD(Software as a Medical Device、プログラム医療機器)は、ソフトウェア単体で医療機器として規制される製品カテゴリです。日本では薬機法上の「医療機器プログラム」として承認・認証の対象となり、開発企業にはQMS省令に基づく品質管理監督システムの構築が求められます。本記事では、医療機器該当性の判断からQMS構築の実務までを条番号と一次通知に基づいて整理し、令和7年4月1日から適用された小規模SaMD製造販売業者向けの国内品質業務運営責任者の要件拡張についても正確に解説します。

SaMDの規制対応で押さえるべき5つの要点

SaMDの規制対応は「該当性の判断」「業許可と三役の設置」「承認・認証」「QMSの構築」「市販後の変更管理」の5工程に分解できます。ソフトウェア企業がつまずきやすいのは、QMS省令とJIS T 2304(IEC 62304)の関係、そして国内品質業務運営責任者の人選です。

論点

結論

根拠

法令上の位置づけ

「医療機器プログラム」として医療機器そのものに該当する

薬機法第2条第13項

該当性の判断

表示・説明資料・広告等に基づき、使用目的とリスクの程度が医療機器の定義に該当するかで判断する

該当性ガイドライン3

QMS省令の適用

設計開発(第30条〜第36条の2)を含め全面的に適用される

QMS省令

JIS T 2304との関係

QMS省令の代替ではなく、上乗せで求められる

基本要件基準第12条第2項

国内品質業務運営責任者

3年以上の経験要件は維持。小規模SaMD企業に限りカウントできる職種が拡張された

医薬監麻発0131第1号

本記事は2026年8月時点の法令・通知に基づきます。改正が続く領域のため、実務判断では厚生労働省・PMDAの一次情報を必ず確認してください。

SaMD(プログラム医療機器)とは

SaMDとは、ハードウェアに組み込まれず、ソフトウェア単体で医療機器としての機能を果たす製品です。日本の法令用語では「医療機器プログラム」および「プログラム医療機器」がこれに対応します。

薬機法における「医療機器プログラム」の定義は、独立した定義条項ではなく第2条第13項(「製造販売」の定義)の括弧書きに置かれています。同項は製造販売を「…をし、又は輸入をした医薬品(原薬たる医薬品を除く。)、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品を、それぞれ販売し、貸与し、若しくは授与し、又は医療機器プログラム(医療機器のうちプログラムであるものをいう。以下同じ。)を電気通信回線を通じて提供すること」と規定しています。物理的な引き渡しを伴わないダウンロード配信も製造販売として捉える条文構造になっており、その中で医療機器プログラムが定義されています。行政通知で使われる「プログラム医療機器」は、医療機器プログラム又はこれを記録した記録媒体たる医療機器を指します。

SaMDとSiMDの違いは条文上も確認できる

SaMDと対比されるのがSiMD(Software in a Medical Device、組込みソフトウェア)です。両者の違いはQMS省令の「構成部品等」の定義に現れています。施行通知「2.第2条(定義)について(3)」は構成部品等を「…製品の一部となるもの及び製品のソフトウェア(製品が法第2条第13項に規定する医療機器プログラムである場合を除く。)」と説明しており、組込みソフトウェアは構成部品等、SaMDは製品そのものという扱いの違いが読み取れます。

観点

SaMD

SiMD

製品としての単位

ソフトウェア単体が医療機器

ハードウェア医療機器の一部

QMS省令上の扱い

製品そのもの

構成部品等(第2条第3項)

提供形態

電気通信回線を通じた提供、記録媒体

ハードウェアに組み込んで出荷

承認・認証の単位

プログラム単位

ハードウェア医療機器として

なお「SaMD」はIMDRF(International Medical Device Regulators Forum)による国際的な呼称で、日本の法令には登場しません。承認申請書や社内文書では「医療機器プログラム」「プログラム医療機器」を使います。

医療機器該当性の判断と上市までの規制ルート

自社ソフトウェアが医療機器に該当するかは「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」(令和3年3月31日付け薬生機審発0331第1号・薬生監麻発0331第15号。令和5年3月31日付け薬生機審発0331第1号・薬生監麻発0331第4号により一部改正)で判断します。該当すれば製造販売業許可の取得と、承認または認証の手続きが必須になります。

該当性は「使用目的」と「リスクの程度」で判断する

同ガイドラインは、該当性が「製造販売業者等による当該製品の表示、説明資料、広告等に基づき、当該プログラムの使用目的及びリスクの程度が医療機器の定義に該当するか」により判断されると定めています(「3 該当性の基本的考え方」)。同じ機能を有するプログラムであっても使用目的が異なれば判断は変わりうるため、開発の企画段階で、どのような表示・説明資料・広告を行うかまで含めて使用目的を設計することが実務上の要になります。なお、副作用または機能の障害が生じた場合でも人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないプログラム(一般医療機器=クラスIに相当するもの)は、医療機器の範囲から除かれます。

リスクの程度は原則としてGHTFクラス分類ルールで判断しますが、同ルールでは判断し難い場合について、同ガイドライン「6 人の生命及び健康に影響を与えるリスクの程度の考え方」が次の2点を考慮するよう示しています。

  1. 医療機器プログラムにより得られた結果の重要性に鑑みて疾病の治療、診断等にどの程度寄与するのか
  2. 医療機器プログラムの機能の障害等が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれ(不具合があった場合のリスク)を含めた総合的なリスクの蓋然性がどの程度あるか

また同ガイドラインは、医療機器に該当しない典型的な事例として、患者説明を目的とするもの、院内業務支援・メンテナンスを目的とするもの、使用者が自らの医療・健康情報を閲覧等することを目的とするもの、生命及び健康に影響を与えるリスクが低いと考えられるものの4類型を挙げています。電子カルテやレセプト請求は原則非該当ですが、同じデータから解析結果を提示して診断を支援する機能を加えると該当性の検討が必要です。判断に迷う場合はPMDAの「医療機器プログラム総合相談」のうち「医療機器該当性に関する相談」を利用できます。

業許可・クラス分類と二段階承認

上記のとおりクラスI相当のプログラムは医療機器の範囲から除かれるため、SaMDはクラスII(管理医療機器)以上が対象になります。認証基準があるものは登録認証機関の認証、ないものはPMDAの審査を経た承認です。クラス分類と承認・認証・届出の使い分けは医療機器のクラス分類と承認・認証・届出の違いで解説しています。製造販売業許可は扱う医療機器のクラスに応じて第一種・第二種・第三種に分かれ、クラスIIのSaMDのみを扱う企業は第二種医療機器製造販売業許可が必要です。許可要件には総括製造販売責任者・国内品質業務運営責任者・安全管理責任者の三役の設置が含まれます。

SaMDは開発期間に比べ技術と外部環境の変化が速いため、制度面の手当ても進んでいます。「プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略(DASH for SaMD)」の第2弾として2023年9月に二段階承認の考え方が施策化され、「プログラム医療機器の特性を踏まえた二段階承認に係る取扱いについて」(令和5年11月16日 医薬機審発1116第2号)が発出されました。PMDAも2024年7月に「プログラム医療機器審査部」を設置し、相談・審査体制を強化しています。

SaMDに求められるQMS ― QMS省令とJIS T 2304の関係

SaMDにもQMS省令は全面的に適用され、設計開発(第30条〜第36条の2)も例外ではありません。JIS T 2304(IEC 62304)はQMS省令の代替ではなく、上乗せの要求である、という理解が出発点になります。

【よくある誤解】「SaMDはJIS T 2304だけでよい」は誤り

「QMS省令の設計開発はハードウェア中心の要求なので、単体プログラムはJIS T 2304に従えばよい」という説明を見かけますが、これは誤りです。正しくは次の2層構造です。

  • QMS省令:設計開発を「どう管理するか」を要求する。計画・入力・出力・照査・検証・バリデーション・移管・変更管理・記録簿の各条文が適用される
  • 基本要件基準第12条第2項:プログラムを用いた医療機器について、JIS T 2304への適合をもって同項への適合を確認したものとする(「医療機器の基本要件基準第12条第2項の適用について」薬生機審発0517第1号・平成29年5月17日。同項は平成29年11月25日から適用され、平成29年11月24日が経過措置期間終了日)

QMS省令の設計開発プロセスを構築したうえで、その中でJIS T 2304のライフサイクルプロセスを回す必要があります。国際的に認知された他の適切な規格による場合は、その妥当性を承認・認証申請で説明することとされています。

設計開発の条文とソフトウェア開発の対応

設計開発そのものの基礎はQMSの設計開発とは?で解説しています。SaMD開発での論点は次のとおりです。

QMS省令

見出し

SaMD開発での論点

ISO 13485:2016

第30条

設計開発

第4項(1号 段階/2号 照査/3号 検証・バリデーション・設計移管/4号 責任権限/5号 追跡可能性/6号 資源)を文書化。ソフトウェア開発計画と一体で作る

7.3.1/7.3.2

第31条

設計開発への工程入力情報

ソフトウェア要求仕様(SRS)が該当

7.3.3

第32条

設計開発からの工程出力情報

第1項第3号の「出荷可否決定等基準」がリリース判定基準に相当

7.3.4

第33〜35条

照査/検証/バリデーション

JIS T 2304のソフトウェア検証とは対象が異なる。用語の対応を社内で定義する

7.3.5〜7.3.7

第35条の2

設計移管業務

(実務解釈)SaMDでは「実際の製造」がビルド・配布のプロセスに相当すると整理できる

7.3.8

第36条

設計開発の変更の管理

変更により製品標準書(第7条の2)と記録簿の見直しが生じる(施行通知44.第36条関係(7))

7.3.9

第36条の2

設計開発に係る記録簿

施行通知45.(3)が「ソフトウェアの検証及びバリデーション結果」を明記。同(4)でDHFに相当と説明

7.3.10

ソフトウェア安全クラス分類やライフサイクルプロセスの詳細はIEC 62304入門:医療機器ソフトウェアライフサイクルを参照してください。あわせてISO 14971(リスクマネジメント)、IEC 62366(医療機器のユーザビリティとは?)、JIS T 81001-5-1(サイバーセキュリティ。基本要件基準第12条第3項に基づく/薬生機審発0331第8号・令和5年3月31日)への対応も必要です。

【混同注意】QMS省令第5条の6は「製品のソフト」ではない

QMS省令第5条の6(ソフトウェアの使用)はSaMDそのものへの要求ではなく、品質管理監督システムの運用に使うソフトウェアのバリデーションを求める条文です。施行通知「10.第5条の6関係(2)」は対象例として基幹系情報システム(ERP・MES)、文書・記録の管理システム、CAD、苦情・不適合・是正措置および予防措置の管理システムを挙げ、経理処理や事務処理用のソフトウェアは対象外と明記しています。

同条はバリデーション手順の文書化(第1項)、初回使用時と変更時の事前バリデーション(第2項)、リスクに応じた実施(第3項)、記録の保管(第4項)で構成されます。実務はQMSのソフトウェアバリデーションとは?を参照してください。

【令和7年4月適用】小規模SaMD製造販売業者は国内品質業務運営責任者の要件が拡張された

令和7年(2025年)4月1日から、一定要件を満たす小規模なSaMD企業に限り、国内品質業務運営責任者としてカウントできる職務経験の範囲が拡張されました。3年以上の実務経験という要件そのものが免除されたわけではありません。 変わったのは「どの職務経験を3年としてカウントできるか」であり、研修の修了と外部アドバイザーへの委託が条件になります。

根拠は令和7年1月31日 医薬監麻発0131第1号で、改正されたのは施行通知の逐条解説「84.第72条(国内品質業務運営責任者)関係(3)」です。背景には規制改革実施計画(令和6年6月21日閣議決定)の「スタートアップ等によるSaMDの開発及び生産を円滑化する観点から」という要請があります。

QMS省令第72条第1項第2号は国内品質業務運営責任者の要件として「品質管理業務その他これに類する業務に三年以上従事した者であること」を定めています。従来この要件に該当する者は、施行通知84.(3)が示す1)〜6)の類型(第一種医療機器製造販売業者は1)〜5)まで、第二種・第三種医療機器製造販売業者および体外診断用医薬品製造販売業者は1)〜6)まで)に限られていました。具体的には、1) 管理監督者、2) 管理責任者、3) 医療機器等総括製造販売責任者、4) 旧法下における品質保証責任者・製造管理者・責任技術者、5) 製造販売業者または製造業の製造管理・品質管理に係る業務に従事した者、6) ISO 9001またはISO 13485の認証を受けた事業者等(製品の製造販売または製造を行うものに限り、サービス提供等のみを行うものを除く)に係る品質マネジメントシステムの継続的改善または維持に係る業務に従事した者、です。

対象となる企業の3条件

#

要件

1

管理医療機器であるプログラム医療機器(薬機法第2条第13項に規定する医療機器プログラム又はこれを記録した記録媒体たる医療機器)の製造販売のみを行うこと

2

第二種医療機器製造販売業者であること

3

中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第5項の小規模企業者であること(おおむね常時使用する従業員20人以下。商業またはサービス業を主たる事業とする場合は5人以下)

さらに、通常の該当者(1)〜6))を国内品質業務運営責任者として置くことが困難な場合に限られます。無条件の緩和ではありません。ハードウェア医療機器も扱う企業や、高度管理医療機器のSaMDを扱う企業は対象外です。

追加された3類型と研修

対象企業では、次の7)〜9)のいずれかに該当し、かつ厚生労働省が指定する研修を修了した者を置くことができます。いずれも3年以上の従事が必要で、この年数は自社・他社を問わず合計で構いません。

  • 7) プログラム医療機器の製造販売業者または製造業者において、プログラム医療機器のプログラムの設計開発に係る業務に3年以上従事した者
  • 8) 同じく、プログラムの設計開発に係る業務および品質管理に係る業務に合わせて3年以上従事した者
  • 9) ソフトウェア開発に係る業務に主たる開発の責任者として3年以上従事した者

研修科目(表1)

時間

一 薬機法その他関連法規/二 国内品質業務運営責任者の役割/三 医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準/四 体制省令(平成26年厚生労働省令第94号)・区分省令(同第95号)・QMS調査/五 医療機器の不具合報告制度・回収報告制度/六 医療機器の製造販売後安全管理の基準

8時間(表1の時間欄)

受け皿として、公益財団法人医療機器センターが「SaMD製造販売業のための国内品質業務運営責任者研修」をeラーニングで実施しています(令和7年3月24日付け厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課事務連絡により指定)。2026年8月時点の受講料は55,000円(税込)、全講義動画の視聴と修了テストの合格が修了要件です(公益財団法人医療機器センター)。

外部アドバイザーの要件と委託業務

7)〜9)の者を国内品質業務運営責任者とする場合は、表2の要件をすべて満たす外部アドバイザーとの間で契約を締結し、当該外部アドバイザーに表3の業務を委託することが求められます。

外部アドバイザーの要件(表2)

一 1)〜6)のいずれかの者として3年以上従事した者

二 国内の品質管理業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者

三 他の製造販売業者の国内品質業務運営責任者を兼務していないこと(複数の小規模SaMD製造販売業者の外部アドバイザーの兼務は可能だが、各社の業務に支障を来さないこと)

委託する業務内容(表3)

一 定期的に国内品質業務運営責任者と会議を実施するとともに、第72条第2項に係る業務を適切かつ遅滞なく遂行できるよう必要な指導、助言を行う

二 品質等に関する情報を得たときや回収を行うとき等、速やかな対応を要する場合に、対応が適切かつ迅速に行われるよう必要な指導、助言を行う

この取扱いは恒久措置ではありません。通知本文には「本運用は、医療機器業界において、ソフトウェア開発及び品質管理の両領域の知見を有する人材が充実するまでの間の暫定的な運用であり、…利用実態調査の結果等を踏まえ、取扱いを変更・廃止する際には、厚生労働省からその旨を連絡する」と明記されています。この枠組みで体制を組む場合も、社内で品質管理経験を積んだ人材を育てる計画を並行して持つべきです。

SaMDのQMS構築 6ステップとチェックリスト

SaMDのQMS構築は、該当性の確認から市販後対応まで6ステップで進めます。設計開発プロセスは既存の開発体制を土台にできる一方、文書・記録の管理と市場出荷判定の仕組みはゼロから作るのが通例です。

  1. 該当性の確認:該当性ガイドラインで自己判断し、判断が割れる場合はPMDA相談を利用する
  2. 業許可と三役の設置:製造販売業許可の申請と三役の選任。国内品質業務運営責任者の人選に困った場合は前セクションの枠組みが使えるか確認する
  3. QMS文書体系の整備:品質管理監督システム基準書(第7条)、製品標準書(第7条の2)、各手順書と記録様式を整備する
  4. 設計開発プロセスの構築:第30条〜第36条の2の要求を満たす手順にJIS T 2304、ISO 14971、IEC 62366を組み込む
  5. QMS適合性調査への対応:承認・認証の申請に伴い、PMDAまたは登録認証機関の調査を受ける
  6. 市販後の運用:不具合報告、市場への出荷判定、アップデートの変更管理とサイバーセキュリティ対応を回す

ステップ3で多くの企業が直面するのが文書・記録の管理です。SaMD開発チームはソースコードのバージョン管理には慣れていても、QMS省令第8条(品質管理監督文書の管理)が求める改訂状況の識別や最新版の利用可能性、第9条(記録の管理)が求める記録の完全性の確保を、汎用のクラウドストレージや表計算ソフトで満たすのは容易ではありません。医療機器QMSに特化した電子QMSであれば版管理・承認履歴・監査証跡が標準機能として備わり、少人数のチームでも適合状態を維持しやすくなります。QMSmartのような電子QMS自体も第5条の6にいう「品質管理監督システムに使用するソフトウェア」に当たるため、選定時にはバリデーションの支援体制も確認しておくとよいでしょう。

SaMDのQMS立ち上げチェックリスト

  • [ ] 表示・説明資料・広告等に基づく使用目的とリスクの程度から該当性を検討し、根拠を文書化した
  • [ ] クラス分類と、承認・認証のいずれのルートかを確定した
  • [ ] 三役の候補者が要件を満たすか確認した
  • [ ] 国内品質業務運営責任者が第72条第1項第2号の3年要件を満たすか、満たさない場合に令和7年改正の枠組みが使えるかを判定した
  • [ ] 品質管理監督システム基準書(第7条)と製品標準書(第7条の2)を作成した
  • [ ] 設計開発手順書が第30条第4項の6項目をすべて文書化している
  • [ ] 工程出力情報(第32条)に出荷可否決定等基準を含めた、または参照可能にした
  • [ ] 要求とテストのトレーサビリティを確保する仕組みを整備した(第30条第4項第5号)
  • [ ] 設計開発に係る記録簿(第36条の2)にソフトウェアの検証・バリデーション結果を含めた
  • [ ] アップデート時の変更管理手順に、製品標準書と記録簿の見直しを組み込んだ
  • [ ] QMS運用に使うソフトウェアについて第5条の6のバリデーション手順を文書化した
  • [ ] 市場への出荷判定(第72条第2項第3号)の手順と記録様式を整備した

よくある質問

SaMDとSiMDは何が違いますか?

SaMDはソフトウェア単体で医療機器に該当するもの、SiMDはハードウェア医療機器に組み込まれたソフトウェアです。日本の法令上、SaMDは「医療機器プログラム」として製品そのものとして扱われ、SiMDはQMS省令第2条第3項の「構成部品等」に含まれます。施行通知2.第2条(定義)について(3)は構成部品等の定義から医療機器プログラムを明示的に除外しており、扱いの違いが条文上も確認できます。

健康管理アプリは医療機器プログラムに該当しますか?

原則として非該当ですが、機能によっては該当します。該当性ガイドラインは「使用者が自らの医療・健康情報を閲覧等することを目的とするプログラム」と「生命及び健康に影響を与えるリスクが低いと考えられるプログラム」を該当しない典型例に挙げています。ただし取得データを解析して診断や治療方針の判断に用いる機能を加えると該当性の検討が必要です。

SaMDにもQMS省令はすべて適用されますか?

適用されます。SaMDは医療機器そのものであるため、設計開発(第30条〜第36条の2)についてもソフトウェアだからという理由で適用が外れることはありません。滅菌や清浄度管理のように製品の性質上該当しない条文はありますが、適用除外は製品特性に基づいて個別に判断し、根拠を文書化しておく必要があります。

JIS T 2304に適合すればQMS省令の設計開発要求は満たせますか?

満たせません。JIS T 2304はQMS省令の代替ではなく、基本要件基準第12条第2項に基づく上乗せの要求です(薬生機審発0517第1号。同項は平成29年11月25日から適用)。QMS省令が設計開発を「どう管理するか」を定め、JIS T 2304がソフトウェアライフサイクルプロセスの中身を定めるという関係にあり、両方を満たす手順書が必要です。

品質管理業務の経験が3年ない人を国内品質業務運営責任者にできますか?

原則としてできません。QMS省令第72条第1項第2号の3年以上という年数要件は令和7年の改正後も維持されています。変更されたのは、管理医療機器であるプログラム医療機器の製造販売のみを行う第二種医療機器製造販売業者のうち小規模企業者に限り、プログラムの設計開発やソフトウェア開発責任者としての3年以上の経験もカウントできるようになった点です。所定の研修の修了と外部アドバイザーへの委託が条件で、通常の該当者を置くことが困難な場合に限られます。

SaMDのアップデートのたびに承認申請が必要ですか?

変更の内容によります。承認事項に該当する変更であれば手続きが必要になるため、変更が承認事項に当たるかを個別に評価する仕組みを、設計開発の変更管理手順(QMS省令第36条)に組み込んでおく必要があります。判断に迷う変更はPMDAへの相談を検討してください。設計開発の変更に伴い製品標準書(第7条の2)と設計開発に係る記録簿(第36条の2)の見直しが生じる点も、施行通知44.第36条関係(7)で示されています。

まとめ

SaMDの規制対応は、該当性の判断から業許可と三役の設置、承認・認証、QMSの構築、市販後の変更管理へと連なる一連のプロセスです。最も誤解されやすいのがQMS省令とJIS T 2304の関係で、JIS T 2304は基本要件基準第12条第2項に基づく上乗せの要求であり、QMS省令の設計開発要求を代替するものではありません。

人の面では、令和7年4月1日から小規模SaMD製造販売業者に限り国内品質業務運営責任者の職務経験の範囲が拡張されました。ただし3年要件そのものは維持され、研修の修了と外部アドバイザーへの委託が条件で、かつ暫定的な運用とされています。仕組みの面では、文書の版管理と記録の完全性の確保に早い段階で手を打つことが、少人数の体制で適合状態を保つ近道になります。本記事の内容は2026年8月時点のものです。実務判断の際は厚生労働省・PMDAの最新の一次情報をご確認ください。

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