医療機器を日本国内で製造販売するには、品目ごとに「届出」「認証」「承認」のいずれかの手続きが必要です。どのルートになるかは、製品の性能や価格ではなく、その製品に割り当てられる一般的名称(JMDNコード)とクラス分類によって決まります。この記事では、自社製品のクラスを判定する手順から、認証と承認が分かれる仕組み、提出先・審査主体・QMS適合性調査の要否までを、薬機法の条文根拠とともに整理します。開発は進んでいるが薬事の出口が見えていない、という段階の担当者が、自社の申請ルートを自力で確定できる状態になることを目的としています。
【結論】医療機器の認証・承認・届出は、クラス分類と認証基準の有無で決まります
医療機器の申請ルートは、クラスI(一般医療機器)なら届出、認証基準が定められた管理医療機器・高度管理医療機器なら登録認証機関の認証、それ以外は厚生労働大臣の承認、という3つに整理できます。判断の材料は2つだけで、①自社製品のクラス分類と②その製品に認証基準が定められているかどうかです。
クラスI〜IVという区分は国際整合(GHTF)に由来するもので、薬機法上の用語ではありません。薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)はこれに対応する区分として高度管理医療機器・管理医療機器・一般医療機器を第2条第5項から第7項で定義しており、具体的な品目の指定は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第五項から第七項までの規定により厚生労働大臣が指定する高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器」(平成16年7月20日 厚生労働省告示第298号)で行われています。各クラスがどのようなリスクを想定した区分なのか、医療機器の定義そのものから確認したい場合は、医療機器の定義と種類の解説記事を先にご覧ください。本記事は、クラスが決まったあとの「どこに何を出すか」に絞って解説します。
クラス | 薬機法上の区分 | 根拠条文 | 原則の申請ルート |
|---|
クラスI | 一般医療機器 | 第2条第7項 | 届出 |
クラスII | 管理医療機器 | 第2条第6項 | 認証(認証基準がない品目は承認) |
クラスIII | 高度管理医療機器 | 第2条第5項 | 承認(認証基準が定められた品目は認証) |
クラスIV | 高度管理医療機器 | 第2条第5項 | 承認 |
注意したいのは、クラスIIが必ず認証、クラスIIIが必ず承認というわけではない点です。クラスIIでも認証基準が定められていない品目は承認申請になり、クラスIIIでも認証基準が定められた品目(指定高度管理医療機器)は認証で足ります。「クラス=ルート」で覚えると、申請直前に手戻りします。
この記事の進め方は3ステップです
- ステップ1:製品に該当する一般的名称(JMDNコード)を特定し、クラス分類を判定する
- ステップ2:その一般的名称に認証基準が定められているかを確認する
- ステップ3:確定したルートに沿って、提出先・必要書類・QMS適合性調査の準備を進める
ステップ1|一般的名称(JMDNコード)から自社製品のクラス分類を判定する
クラス分類は、製品の商品名や構造から自分で推定するものではなく、厚生労働省が告示で指定した「一般的名称」に紐づいて決まっています。したがって判定作業の実体は、「自社製品がどの一般的名称に該当するか」を特定する作業です。ここを外すと、以降のルート判断がすべてずれます。
一般的名称は日本医療機器名称(JMDN:Japan Medical Device Nomenclature)として体系化され、それぞれにJMDNコード、クラス分類、特定保守管理医療機器・設置管理医療機器等の該当性が割り当てられています。同じ「カテーテル」でも、使用目的と適用部位が違えばクラスが変わります。製品カテゴリの一般名ではなく、告示上の一般的名称の定義文と自社製品の使用目的を突き合わせるのが正しい手順です。
一般的名称はPMDAの基準等情報提供ホームページで検索する
一般的名称とクラス分類は、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の「医療機器基準等情報提供ホームページ」(https://www.std.pmda.go.jp/stdDB/ )で公開されています。同サイトの一般的名称検索では、名称・JMDNコード・定義文からの検索ができ、該当する一般的名称のクラス分類と、後述する認証基準の有無を同じ画面で確認できます。
検索時のコツは、製品名ではなく使用目的を表す言葉と適用部位で引くことです。たとえば「単回使用」「滅菌済み」「〇〇用」といった修飾語が定義文に含まれているかどうかで、該当する一般的名称が変わります。候補が複数出た場合は、それぞれの定義文を読み比べ、自社製品の使用目的・原理・適用部位に最も近いものを選びます。
該当する一般的名称が見つからない場合の進め方
既存の一般的名称に当てはまらない場合、新しい一般的名称の新設が必要になる可能性があります。この判断は自社だけで完結させず、PMDAの相談制度(医療機器該当性・一般的名称に関する相談)を活用してください。なお都道府県の薬務主管課は製造販売業許可・製造業登録の窓口であり、品目のクラス判定そのものを決定する権限は持ちません。一般的な薬事相談の入口としては利用できますが、判定の最終確認先はPMDAです。特に既存製品に無い作用原理を持つ製品や、プログラム医療機器のように該当性の判断自体が論点になる製品では、開発の早い段階で相談したほうが結果的に早く進みます。
判定を誤ったまま申請すると、審査の途中でルート自体をやり直すことになり、数か月単位の遅延につながります。「たぶんクラスIIだろう」で開発計画を組まないことが重要です。
クラス判定チェックリスト
- [ ] 製品の使用目的・適用部位・作用原理を文章で書き出した
- [ ] PMDA 医療機器基準等情報提供ホームページで一般的名称を検索した
- [ ] 候補となる一般的名称の定義文を読み、自社製品の使用目的と一致することを確認した
- [ ] JMDNコードとクラス分類(I〜IV)を記録した
- [ ] 特定保守管理医療機器・設置管理医療機器に該当するかを確認した
- [ ] 該当する一般的名称が特定できない場合、PMDAへの相談ルートを確保した(必要に応じて都道府県の薬務主管課にも一般相談)
ステップ2|認証基準の有無で「認証」と「承認」が分かれます
クラスが決まったら、次に確認するのはその一般的名称に認証基準が定められているかどうかです。認証基準が定められている品目は「指定高度管理医療機器等」と呼ばれ、厚生労働大臣ではなく登録認証機関の認証を受けることになります(薬機法第23条の2の23第1項)。
薬機法第23条の2の5第1項は、承認の対象を「医療機器(一般医療機器並びに第23条の2の23第1項の規定により指定する高度管理医療機器及び管理医療機器を除く)」と定めています。つまり法律の建て付けとしては、まず承認を原則としたうえで、届出(クラスI)と認証(認証基準のある品目)が例外として切り出されている構造です。この読み方ができると、「なぜ同じクラスIIで認証と承認に分かれるのか」が理解しやすくなります。
「指定高度管理医療機器等」に該当するかを確認する
指定高度管理医療機器等の範囲は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二十三条の二の二十三第一項の規定により厚生労働大臣が基準を定めて指定する医療機器」(平成17年3月25日 厚生労働省告示第112号)で指定されています。この告示は改正が頻繁に行われるため、必ずPMDAの基準等情報提供ホームページで最新の状態を確認してください。
認証基準は技術基準と使用目的の両方で構成されます
認証基準は、対象となる一般的名称と使用目的、そして適合すべき技術基準(JIS等)の組み合わせで定義されています。つまり「一般的名称が合っている」だけでは足りず、使用目的が認証基準の想定する範囲に収まっていること、そして指定された技術基準に適合していることの両方が必要です。
認証基準に適合しない場合は承認申請になります
認証基準が定められた一般的名称であっても、自社製品の使用目的が基準の範囲外だったり、指定された技術基準の一部に適合できなかったりする場合は、認証ではなく承認申請の対象になります。開発仕様を固める前に認証基準の本文を読み込み、「この基準に合わせにいくのか、外れることを前提に承認を狙うのか」を意思決定しておくと、試験計画とスケジュールが安定します。
届出・認証・承認の3ルート比較|提出先・審査主体・期間・調査の要否
3つのルートは、審査する主体と提出先がそれぞれ異なります。届出には審査がなく、認証は民間の登録認証機関が、承認は厚生労働大臣(実務上の審査はPMDA)が担当します。QMS適合性調査が必要になるのは認証と承認の2ルートで、届出には不要です。
項目 | 届出 | 認証 | 承認 |
|---|
対象 | 一般医療機器(クラスI) | 指定高度管理医療機器等(認証基準が定められた管理医療機器・高度管理医療機器) | クラスIV、および認証基準のないクラスII・III |
根拠条文 | 薬機法第23条の2の12第1項 | 薬機法第23条の2の23第1項 | 薬機法第23条の2の5第1項 |
審査主体 | 審査なし(届出) | 登録認証機関 | 厚生労働大臣(審査はPMDAが実施) |
提出先 | PMDA(機構が届出を受理。第23条の2の13第1項) | 登録認証機関 | PMDA(厚生労働大臣が機構に審査等を行わせる。第23条の2の7) |
主な提出資料 | 製造販売届書+添付文書(案) | 認証申請書+認証基準への適合性に関する資料等(第23条の2の23第3項) | 承認申請書+品質・有効性・安全性に関する資料(第23条の2の5第3項) |
QMS適合性調査 | 不要 | 必要(第23条の2の23第4項) | 必要(第23条の2の5第6項) |
変更時の手続き | 変更後30日以内に届出(第23条の2の12第2項) | 軽微変更届/認証事項一部変更認証 | 軽微変更届/一部変更承認 |
届出ルート(一般医療機器)
一般医療機器は、製造販売をしようとするときにあらかじめ品目ごとに届け出ます(薬機法第23条の2の12第1項)。届出は審査を伴わないため、承認・認証で必要となる審査手数料は発生せず、要件を満たした届出が受理されれば製造販売を開始できます。
ただし書類が届書1枚で済むわけではありません。届出には施行規則第114条の47第3項に基づき添付文書案を添付する必要があり、届け出る製品が基本要件基準(法第41条第3項)に適合していることも前提になります(平成26年11月21日 薬食機参発1121第41号)。届出は審査がない代わりに、適合性の判断がすべて自己責任である点に留意してください。
提出先を誤解しやすいのがこのルートです。一般医療機器の製造販売届出は、都道府県ではなくPMDA(機構)が受理します(薬機法第23条の2の13第1項、同法施行令第37条の38)。都道府県知事が窓口になるのは製造販売業許可と製造業登録であり、品目ごとの届出とは層が異なります。届け出た事項を変更したときは、30日以内に変更の届出が必要です(同条第2項)。
もう一つ誤解が多いのが、QMSの扱いです。品目ごとのQMS適合性調査が不要なだけで、一般医療機器の製造販売業者もQMS省令の適用は受けます。 QMS省令第4条第1項は、承認・認証の対象でない製品について第30条から第36条の2まで(設計開発に関する規定)を適用しないと定めており、文書管理・記録管理・是正処置といった基本的な要求事項は変わらず求められます。
ただし、適用除外は第4条第1項だけではありません。一般医療機器のうち厚生労働大臣が指定するもの以外は限定一般医療機器とされ(QMS省令第5条の5第3項)、これのみを製造販売する事業者は限定第三種医療機器製造販売業者として(同第5条の6第1項)、内部監査(第56条)・購買工程(第37条・第38条)・教育訓練(第23条)・ソフトウェアバリデーション(第5条の6)など30か条にわたって個別の特則が置かれています。自社にどこまで求められるかは、この区分を確認したうえで判断してください。いずれにせよ「クラスIだからQMSは不要」という理解は誤りです。
認証ルート(指定高度管理医療機器等)
認証は、厚生労働大臣の登録を受けた登録認証機関が、認証基準への適合性と製造管理・品質管理の方法を審査するルートです。認証が与えられない要件は薬機法第23条の2の23第2項に列挙されており、製造販売業許可を受けていないこと、製造所が登録を受けていないこと、認証基準に適合しないこと、QMS基準に適合しないことなどが該当します。製品試験だけでなく、業許可と製造所登録、QMS体制が揃っていないと認証は下りません。
承認ルート(クラスIV、認証基準のない品目)
承認は、品質・有効性・安全性に関する資料を添えてPMDAに申請し、厚生労働大臣の承認を受けるルートです(薬機法第23条の2の5第1項・第3項)。厚生労働大臣は機構(PMDA)に医療機器等審査等を行わせることができ、その場合、申請者は機構が行う審査を受けることになります(同法第23条の2の7)。
審査期間の目安として、PMDAは2008年に厚生労働省が設定した「医療機器の審査迅速化アクションプログラム」の数値を公表しています。新医療機器が12か月(優先審査品目は9か月)、改良医療機器が臨床データありで9か月・臨床データなしで6か月、後発医療機器が4か月です(PMDA「承認について(大臣承認)」2026年8月時点)。ただしこれは2008年に設定された目安であり、PMDAが中期計画で業務目標として掲げる総審査期間の目標値とは別のものです(中期計画の目標値は新医療機器の通常品目が14か月、改良医療機器が臨床データありで10か月・臨床データなしで6か月、後発医療機器が4か月)。PMDAのいう総審査期間は、行政側の審査期間と申請者側の照会対応期間を合計した、申請から承認までの全期間を指します。
令和6年度の実績(速報値)は、新医療機器の通常品目が80%タイル値で11.7か月、改良医療機器(臨床あり)が60%タイル値で8.9か月、同(臨床なし)が6.0か月、後発医療機器が3.8か月で、いずれの区分も目標値を達成しています(PMDA「医療機器にかかるPMDAの取組」2025年6月4日)。ただしこれはタイル値であり、一定割合の品目はこの期間を超えます。照会事項が多い品目ほど申請者側の期間が伸びるため、開発計画では実績値に余裕を持たせて逆算してください。
審査手数料は申請区分ごとに定められ、改定されることがあります。金額はPMDAの「審査等手数料・対面助言等の手数料について」で最新版を確認してください。
どのルートでも前提になる業許可と製造業登録
品目の届出・認証・承認は、いずれも製造販売業許可を持っていることが前提です。医療機器の製造販売業許可は、取り扱う最上位のクラスに応じて第一種(高度管理医療機器)・第二種(管理医療機器)・第三種(一般医療機器)に分かれます(薬機法第23条の2第1項)。上位の許可は下位の許可を包含するため、第一種を持っていれば第二種・第三種の許可を受けたものとみなされます(同法施行令第37条の6)。
許可権者は法文上は厚生労働大臣ですが、施行令第80条第3項第1号により、実際には医療機器等総括製造販売責任者が業務を行う事務所の所在地の都道府県知事が行います。有効期間は5年で更新が必要です(薬機法第23条の2第4項、施行令第36条)。設計・組立て・滅菌等を行う製造所は、製造業の登録も必要で、こちらも5年ごとの更新です(薬機法第23条の2の3第1項・第3項、施行令第37条の7)。業許可と製造業登録の要件は製造販売業・製造業の解説記事で詳しく整理しています。
登録認証機関の選び方と認証申請の進め方
登録認証機関は、厚生労働大臣の登録を受けて基準適合性認証を行う第三者機関です(薬機法第23条の6第1項)。機関数は増減があり、認証業務から撤退した事例も報告されているため、現在の登録機関と各機関の認証範囲は、厚生労働省が公表する一覧で必ず確認してください。重要なのは、機関ごとに認証できる医療機器の範囲(認証範囲)が異なる点です。すべての医療機器を認証できる機関もあれば、限られた分野のみを扱う機関もあるため、まず自社製品の一般的名称が対象に含まれているかを確認します。
登録の要件は薬機法第23条の7に定められており、ISO/IEC が定める製品認証機関の基準および品質マネジメントシステム審査機関の基準への適合と、被審査者からの独立性が求められます。登録は3年ごとの更新制です(薬機法第23条の6第3項)。製造販売業許可・製造業登録・QMS適合性調査がいずれも5年周期であるのに対し、登録認証機関の登録だけが3年周期になっています。
なお、機関の登録とは別に、品目の認証も取消しの対象です。認証を受けた医療機器が認証基準に適合しなくなるなど、薬機法第23条の2の23第2項各号に該当するに至ったときは、認証を与えた登録認証機関がその認証を取り消します。
組織としてのISO認証取得プロセスとの違いは、外部認証取得の実務を解説した記事も参考になります。
認証範囲・審査体制・スケジュールで選ぶ
- 認証範囲:厚生労働省が公表する認証範囲一覧で、自社製品の一般的名称が対象かを確認する
- QMS適合性調査の体制:製品審査とQMS適合性調査を同一機関で受けられるか、海外製造所への実地調査に対応できるか
- スケジュールと料金体系:標準的な処理期間、照会対応の回数と追加費用の有無、認証後のサーベイランス費用
- コミュニケーション:照会事項のやり取りの速さ、英語対応の要否
審査期間と費用は機関・品目によって幅があるため、複数機関から見積りと標準処理期間を取り、比較してから決めることをおすすめします。
認証申請の流れ
- 一般的名称と認証基準を確定し、認証範囲に対応する登録認証機関を選定する
- 認証機関に事前相談し、必要な資料と試験項目を確認する
- 認証基準が指定する技術基準(JIS等)への適合性試験を実施する
- 認証申請書と添付資料を提出する(薬機法第23条の2の23第3項)
- 製品審査とQMS適合性調査を受ける(同条第4項)
- 認証を取得し、製造販売を開始する
技術基準への適合性試験は外部試験機関に委託することが多く、ここが全体の律速になりやすい工程です。試験の枠取りを含めて逆算したスケジュールを組んでください。
申請前に固めるQMS体制|QMS適合性調査は申請とセットで走ります
認証・承認のどちらのルートでも、製品そのものの審査と並行してQMS適合性調査を受ける必要があります。承認では厚生労働大臣(実務上はPMDA)の書面調査または実地調査を(薬機法第23条の2の5第6項)、認証では登録認証機関の調査を受けます(同法第23条の2の23第4項)。調査で確認されるのは、QMS省令(医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令/平成16年厚生労働省令第169号)への適合状況です。
つまり、製品が完成していてもQMSが構築・運用されていなければ、申請は前に進みません。QMS適合性調査の全体像はQMS適合性調査の解説記事で確認できます。
調査は5年ごとに繰り返されます
QMS適合性調査は、初回の認証・承認時だけの通過儀礼ではありません。承認品目は承認取得後5年ごと(薬機法第23条の2の5第6項、施行令第37条の21)、認証品目は認証取得後5年ごと(同法第23条の2の23第4項、施行令第39条)に、定期的な調査を受けなければなりません。一度きりの対応として体制を組むと、5年後に同じ苦労を繰り返すことになります。
基準適合証があれば調査を省略できる場合があります
すでに基準適合証(薬機法第23条の2の6第1項、認証側は第23条の2の24第1項)の交付を受けており、製品群・製造所などの要件を満たす場合は、調査を受けることを要しないとされています(第23条の2の5第7項、第23条の2の23第4項)。複数品目を継続的に申請していく計画があるなら、基準適合証の対象範囲を意識した製造所・製品群の設計が、後続品目の負担を大きく左右します。
申請前QMS体制チェックリスト
- [ ] 製造販売業許可(取り扱うクラスに対応した種類)を取得している
- [ ] 設計・組立て・滅菌等を行う製造所が製造業の登録を受けている
- [ ] 品質マニュアルおよびQMS省令が求める手順書を整備している
- [ ] 設計開発の記録(設計移管・設計検証・設計妥当性確認)が追跡できる状態にある
- [ ] リスクマネジメント(ISO 14971)の記録が設計開発の記録と紐づいている
- [ ] 供給者管理・購買記録が整備されている
- [ ] 内部監査とマネジメントレビューを少なくとも1サイクル実施している
- [ ] 文書の版管理・承認履歴・廃止文書の識別が運用されている(QMS省令第8条第2項)
- [ ] 調査で提示を求められる記録を、保管期間を満たす形で保管している
どの手順書と記録が必要かの全体像は、QMS必須文書リストの記事にまとめています。
申請準備の段階で負荷が集中しやすいのが、この文書と記録の整備です。版管理・承認履歴・教育訓練記録の紐付けを紙やファイルサーバーで運用していると、QMS省令第8条第2項が求める「改訂状況の識別」や「廃止文書の識別」が属人的になり、調査当日に必要な記録を取り出せないという事態が起こりがちです。医療機器QMSに特化した電子QMS(eQMS)であれば、版管理・承認履歴・監査証跡が標準機能として備わり、初回の適合性調査だけでなく5年ごとの定期調査にも同じ運用のまま対応できます。QMSmartのような医療機器向けeQMSは、申請前のQMS体制構築の土台としても検討する価値があります。
よくある質問
医療機器の「認証」と「承認」はどう違いますか?
審査する主体が違います。認証は厚生労働大臣の登録を受けた民間の登録認証機関が、あらかじめ定められた認証基準への適合性を審査するもので(薬機法第23条の2の23第1項)、承認は厚生労働大臣がPMDAの審査を経て品質・有効性・安全性を個別に評価するものです(同法第23条の2の5第1項)。認証は「決められた基準に合っているか」の確認、承認は「その製品の有効性と安全性が妥当か」の個別評価、と整理すると分かりやすくなります。
クラスIIの医療機器は必ず認証ですか?
いいえ、必ずしも認証ではありません。認証の対象は「厚生労働大臣が基準を定めて指定する」管理医療機器・高度管理医療機器に限られるため(薬機法第23条の2の23第1項)、認証基準が定められていないクラスIIの品目は承認申請の対象になります。逆にクラスIIIでも、認証基準が定められた指定高度管理医療機器であれば認証で足ります。
自社製品のクラス分類はどこで調べられますか?
PMDAの「医療機器基準等情報提供ホームページ」(https://www.std.pmda.go.jp/stdDB/ )で、一般的名称・JMDNコードから検索できます。まず自社製品の使用目的・適用部位・作用原理を整理し、該当する一般的名称の定義文と突き合わせてください。該当する一般的名称が見つからない場合は、PMDAの相談制度(医療機器該当性・一般的名称に関する相談)を利用します。都道府県の薬務主管課は業許可・製造業登録の窓口であり、品目のクラス判定を決定する権限はありません。
一般医療機器(クラスI)の製造販売届出はどこに提出しますか?
PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が受理します。薬機法第23条の2の12第1項は届出先を厚生労働大臣と定めていますが、同法第23条の2の13第1項および施行令第37条の38により、機構が届出を受理することとされています。都道府県知事が窓口となるのは製造販売業許可と製造業登録であり、品目ごとの届出とは手続きの層が異なります。
認証・承認の取得にはどのくらいの期間がかかりますか?
承認については、2008年に厚生労働省が設定した「医療機器の審査迅速化アクションプログラム」に基づく目安をPMDAが公表しており、新医療機器12か月(優先審査品目9か月)、改良医療機器は臨床データありで9か月・臨床データなしで6か月、後発医療機器4か月とされています(PMDA「承認について(大臣承認)」2026年8月時点)。ただしこれは2008年設定の目安で、PMDAが中期計画で掲げる総審査期間の目標値(新医療機器の通常品目14か月など)とは別のものです。PMDAのいう総審査期間は照会対応の期間も含む申請から承認までの全期間を指し、令和6年度は新医療機器の通常品目が80%タイル値で11.7か月と目標を達成しています。ただしタイル値のため、一定割合の品目はこの期間を超えます。認証の期間は登録認証機関と品目により幅があるため、選定時に各機関の標準的な処理期間を確認してください。
認証・承認の申請にQMS適合性調査は必ず必要ですか?
必要です。承認では薬機法第23条の2の5第6項、認証では同法第23条の2の23第4項により、申請時および取得後5年ごとの調査が義務づけられています。ただし、すでに交付を受けている基準適合証の範囲に該当するなど一定の要件を満たす場合は、調査を要しないとされる規定があります(第23条の2の5第7項、第23条の2の23第5項)。届出(一般医療機器)には品目ごとのQMS適合性調査はありませんが、QMS省令の適用自体は受けます(第4条第1項により設計開発に関する第30条から第36条の2までが適用されないほか、限定一般医療機器のみを製造販売する事業者には条ごとの特則があります)。
認証や承認を取得したあと、製品を変更したらどうなりますか?
変更の内容に応じて手続きが変わります。承認事項の変更は一部変更承認または軽微変更届、認証事項の変更は認証事項一部変更認証または軽微変更届で対応します。届出品目については、届け出た事項を変更したときは30日以内に変更の届出が必要です(薬機法第23条の2の12第2項)。なお、製造管理・品質管理の方法に影響を与えない一部変更については、QMS適合性調査が適用されない場合があります(施行令第37条の25)。
まとめ
- 医療機器の申請ルートは、クラス分類と認証基準の有無の2つで決まります。クラスIIが必ず認証、クラスIIIが必ず承認ではありません
- クラス分類は製品名からではなく、一般的名称(JMDNコード)から特定します。PMDA 医療機器基準等情報提供ホームページで検索できます
- 届出はPMDAが受理し審査はありません。認証は登録認証機関、承認は厚生労働大臣(審査はPMDA)が担当します。一般医療機器の届出先を都道府県と誤認しないでください
- 認証・承認にはQMS適合性調査が必須で、初回だけでなく5年ごとに繰り返します。基準適合証による省略規定もあります
- 品目の申請の前提として、製造販売業許可(第一種〜第三種)と製造所の製造業登録が必要です
申請ルートが確定したら、次はQMS体制の構築が実務の中心になります。文書管理・記録管理を電子化しておくと、初回の適合性調査だけでなく5年ごとの定期調査や複数品目の同時申請でも、同じ運用を再利用できます。
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